家族信託実務ガイドに掲載されました!

私はこうして家族信託に取り組んだ!

1.家族信託との出会い

今から5年程前でしたでしょうか。普段からお付き合いのあるハウスメーカーさんからお声がかかり「面白い勉強会があるからとりあえず来てくれ」と呼ばれ、内容もよくわからずに参加した勉強会で講師としてご登壇されたのが、一般社団法人家族信託普及協会(下記、「協会」という)の芦屋代表でした。 当時の私は「家族信託」という言葉を聞いたことはありましたが、どのようなものかいまいちよくわかっていない状態でした。 成年後見制度の不自由さ、遺言制度の限界を普段の業務で目の当たりにしてはいましたが、家族信託でそれが解決できる、そんなすごい制度があったのかと初めのうちは少し半信半疑に講義を聴いていたところがありました。 当時私は、相続や遺言、成年後見などをテーマにしたセミナーの講師をすることが頻繁にありました。 2015年の相続税改正によってプチ相続セミナーブームがあったものの、そう長続きするものではなく、特にハウスメーカーや大手仲介会社主催のセミナー参加者の多くは、相続をテーマにするものに飽きており、新しいネタを欲していたように思います。 何はともあれ、前述した芦屋代表の勉強会で家族信託の大きな可能性を知り、さっそく勉強をはじめました。 当時は地元の仙台では家族信託を学べる環境が整っていなかったため、協会の専門士研修ははじめて東京で行われる研修会などに積極的に参加しました。 2017年1月、ハウスメーカーの営業マンの方より1件の相談が持ち込まれました。「母親が保有している現金で貸家を建て相続対策をしたい。 だた、母親は施設に入所したばかりでいつ認知症が発症するかわからない。息子に現金を贈与してしまっては贈与税がかかるし、何よりも母親のためにならない。 できれば成年後見制度も使いたくない。どうしたものか。」といった具合でした。 「家族信託が提案できるかもしれない」この頃から私は家族信託をテーマにしたセミナー講師をする機会が増えていく一方で、話す内容に説得力がないと自分自身焦りすら感じていました。ある勉強会の講師が言っていた「本を100冊読むよりも案件を1件こなすほうが身になる」といった趣旨の言葉を思い出し、先の相談に対し勇気を出して家族信託を提案して、組成することになりました。私の家族信託人生の第一号のお客様です。

2.家族信託がもたらす継続的なお付き合い

一般的に私たち司法書士の業務というのは、登記手続をはじめとする手続代行業務がメインとなります。 その業務の性質上、弁護士や税理士のような「顧問業」という付き合い方に縁がなく、単発業務の連続である私たち司法書士にとって、お客様と継続的な関係性を作るのが難しく、私も含めそれを苦手にしている先生方も少なくないのではと思います。 しかし、家族信託組成をお手伝いさせていただいたお客様とは(よっぽどのことがない限り)継続的なお付き合いを構築することが可能となります。 これは実際に信託組成に携わっている先生方はご存知かと思いますが、信託の組成業務事態が手続代行を脱却しており、いわば、「正解のない」業務なのです。 書式に基づき、一文字一文字を正確に登記簿に写す登記業務とは、向き合い方が全く異なります。 また、信託契約書は十人十色の内容となるため、一度組成にかかわったお客様は、何かある度になにかある度に連絡をもらえることになります。 典型例は、「信託不動産を売却したい」、「受益者が亡くなった」、「収益物件の信託調書が必要になった」等です。 当事務所の経営理念の1つには「お客様の明るい未来造りの応援」があります。 これは、司法書士業務は幸いにもお客様の大切なライフイベント(マイホーム購入、創業支援、不動産売却、相続・遺言など)に関与することができるため、人生の節目の法務カウンセラーとして、「お客様の人生丸ごと応援します」といった私の想いがそこにはあります。 まさに家族信託を組成したお客様とは、この経営理念に沿ったお付き合い実現できていると実感しています。

3.今後の展望

東北地方ではまだまだ家族信託の担い手が少ないのが実現です。私たち士業、金融機関、不動産関係者が協力し合い、家族信託をもっと利用しやすい環境にしていく必要があると感じています。 それは、自社のビジネスだけ良ければよいという発想ではなく、エンドユーザーの立場に立った総合的な受入態勢の構築が必要です。 エンドユーザー向けのフォーラム開催など、それぞれの業界の強みを活かした連携体制を作っていきたいと思います。